隔年開花

“一丁目の花”と呼んではばからないモッコウバラが、今最盛期を迎えている。町内のあちこちで見ることのできるその可憐な黄色の花弁は、気分を和ませ、桜とはまた違う季節の変わり目を感じさせてくれる。
個人的に大好きな花だけに、我が家の庭にもしっかりと根付いているのだが、その我が家のモッコウバラは、不思議なことに隔年でしか開花しない。たまたま昨年だけは例外で、2年連続の開花を楽しめたが、案の定、今年は蕾の一つも形成されることがなく、今も枝葉のままだ。
webなどで調べると、<まったく咲かない>、<咲が悪い>等々の事例は多く見つかるが、隔年でしか咲かないという記事はこれまで見かけたことがなく、モッコウバラの開花はソメイヨシノ以上の楽しみになっているので、何とかして対策方法を探し出そうと思っている。

近所の玉川上水を散歩すれば、新緑のはざまに様々な花の開花を目にすることができる。
リチャードもしきりに鼻をぴくつかせ、心なしか動きにも弾みがついているようだ。

春・野川公園

 
4月6日(木)。春本番を思わせる暖かさにじっとしていられなくなったのか、

「ねえパパ、リーちゃん連れて野川公園へ行こうよ」

普段、余り動きたがらない女房でさえ、この開放感には負けたようだ。それにロックと違ってリチャードは車に乗せてもおとなしいから、どこへでも連れていける。
定期的に通院治療しなければならないおふくろの送り迎えが済んだ午後、トイレバッグとD600を持って車へ乗り込んだ。
女房の膝に座ったリチャードは、動く車窓の景色をひたすら追っている。こんな時、犬は何を思い巡らせているのだろうか。

平日でも花見客が大挙していると予想したが、意外や公園の駐車場はガラガラ。正に肩すかしである。
公園が好きなリチャードは、車から降りた途端に強くリードを引き出した。嬉しくてしょうがないのだ。
売店手前には満開直前の桜が連なり、 大勢の人々が思い思いのスタイルで楽しんでいる。

「あっ!わんちゃんだ!さわりたーいぃ」

保育園児だろう、ちっちゃな男の子二人が、怖々と近づいてきたが、びびりーのリチャードはひたすら距離感を保つ。子供たちも必死に追いかけてはみたが、その内に様子を見ていたお母さんに呼ばれ、残念そうに戻ていった。
風はやや強かったが、冷たさはなく、空気感はまさしく春。思わずリチャードと駆け足すれば、すぐに汗が滲みだしてきた。公園の解放感はやっぱり気持ちがいい。

「写真、撮るんでしょ」
「そうだね」
「リーちゃんと売店のところにいるから行ってきたら」

東八道路に渡す陸橋手前に花壇があり、赤と黄のチューリップが今が盛りと咲き誇っていた。
ここから北側を眺めると、やや被写体に乏しい印象を受けたので、陸橋は渡らずにそのまま道路沿いを進むことにした。すると間もなくして連なる桜が見えてくる。
広場からかなり離れているからだろう、さすがにここでビニールシートを広げている人は見当たらない。誰にも邪魔されず桜を狙うには最高だが、残念なことに、今日時点での開花度は8割ほどで、たわわと言うまでのボリューム感にはまだ達していない。
何と言っても、桜の撮影タイミングは満開に限るのだ。
こう述べるとあたかも桜撮影が得意といった印象を受けるだろうが、実は、被写体としての桜はあまり好きではない。季節の花の代表選手だから、カメラやスマホを持っている方々なら、開花すれば最低でも一枚は撮るだろう。しかし真剣になって作品作りにトライするとなると、これが悩ましいほど難しい。
桜単体ではベタになりやすく、見栄えをアップしようとすれば、どうしても人や神社仏閣、川の流れ、ライティング等々の脇役が欲しくなる。しかし、この組み合わせはそう簡単に見つかるものではないのだ。
まっ、写真はあまり難しく考えても面白くないし、考えればいい画が切り取れるというものでもないので、肩の力を抜いてあくまでも楽しみ第一で行っている。

更に風が強くなったのか、木々のざわつきが耳に付きはじめた。若干だが気温も下がってきたようだ。
西の端、いこいの広場まで来たので、そろそろ女房とリチャードの待つ売店へと引き返すことにした。
コンクリートを避けて、選んで土の上を歩いた。スニーカーから伝わる感触がなんとも心地よく、すぐに山歩きを連想させ、シーズンまでもう少しと、無性に心が浮き立ってきた。
今年こそはテン泊で一杯やらねば。

売店が見えてくると、私に気付いたリチャードが、しきりにしっぽを振りながらこちらを見ている。

「お疲れさん。桜餅食べる?」
「おっ、うまそう」

ちょっぴり塩味の葉っぱが、甘いあんこと相まり、いかにも春らしい味わいが口の中一杯に広がっていった。

晩酌ばんざ~い♪

晩酌無くして一日は終わらない。
どんなにへたりきっても、帰宅して風呂を浴び、ちょいと肴をつまんで焼酎のお湯割りをくくっとやれば、身も心も完全復活。
そう、私は自他共に認めるアルコール好き。自慢にはならないが休肝日は存在しない。

中学生の頃、うちは大家族だった。爺さん、婆さん、叔父さん二人に叔母さん、そして、おやじ、おふくろ、弟と、時として総勢9人が夕飯を囲んだものだ。そんなある日、上の伯父さんが、「もう大人なんだからビールでもやれや」と真っ赤な顔をしてグラスを差し出すのだった。

「ダメじゃない中学生なんだから!」
「まあまあ義姉さん、一杯くらいいいだろ」

と言いながら、既に注ぎ始めている。おやじの方へ振り向くと、ニヤニヤしているだけだ。
そうだ、たかが一杯なのだ。
躊躇なく口へ運ぶと、ほろ苦さの中にも甘さがあることに気付く。
こいつ、、、案外うまいかも。

「おっ、いけるくちだな」
「もうダメだからね!」

いきなり酔いが回りはじめ、叔父さんとおふくろのやり取りもうわのそらである。
あ~いい気分、、、
この頃からか、アルコールが気に掛かるようになったのは。

晩酌の中心は焼酎だ。冬はお湯割りでぽっかぽか、汗かく季節が来れば、きりりと冷たいレモンハイで楽しんでいる。ビールはそれほど好んで飲まないが、肉系で濃い味のつまみが手に入ったときは350mlを一本だけやる。ジューシーな鳥カラを流すときなど、やはりビールはいい仕事をするものだ。
さて、好みなアルコールブランドを羅列してみよう。
麦なら“いいちこ”、イモは“さつま白波”、日本酒は“澤ノ井”、ウィスキーなら“ニッカ”、そして泡盛だったら“久米仙”ってところか。この他、バーボンも時々やるが、イチオシは“JWダント”だ。
但し、ここまで書いても晩酌でよく飲むのは焼酎甲類である。お湯割りでも炭酸割りでも、味付けにはレモン汁を使い、先ずはこれでスタートする。長らく続いている私流だ。
そもそも甲類は財布にやさしいし、バリエーションを楽しめるから毎日飲んでも飽きがこない。
甲類については、樹氷、純、大五郎、キンミヤ等々といろいろ試してきたが、ここにきて落ち着いたのが“イオン・トップバリュー焼酎甲類25度”だ。癖がなく、まろやかな口当たりで、甲類にありがちなアルコール臭が小さいところがGooである。
これに加えてつい最近、好きなレモン汁に新しいバージョンを発見。これにより割のグレードがぐっと上昇した。
晩酌でいちいちフレッシュを使うのは面倒なので、これまではもっぱらポッカレモン100を愛用してきたが、ある日いなげやの棚で目に付いたのが“ポッカレモン有機”。健康的なキャッチに誘われて買い物かごへ入れたのだが、これが大正解。フレッシュに近い酸味はコクを作り、のど越しの際もしっかりとレモンの風味を放つのだ。もちろんお湯割りでも炭酸割りでも効果は同じなので、レモン好きの諸兄には、ぜひ一度試していただきたい。
桜が終わり、初夏の空気に包まれ出したら、炭酸をケースで仕入れてこなければ、、、

写真好きな中年男の独り言