エレキバンド・その3・いつまでもいつまでも

photoKが差し出したものはコードが記載されている歌謡集だった。
雑誌の付録だったものを、同じ友達仲間のTから貰ったとのことだ。T自身はそれほど音楽に興味があるように見えなかったが、Tには兄貴がいて、彼は自他共に認めるビートルズマニアだそうだ。ギターを弾きながら格好良く“アンド・アイ・ラヴ・ハー”を歌うらしい。
恐らくその歌謡集は元々兄貴の持ち物だったのだろう。

「この曲、簡単だよ」

Kが教えてくれたのは、当時の人気グループ、ザ・サベージのデビュー曲“いつまでもいつまでも”だ。
開いたページをよく見ると、コードの数が少なく、しかも比較的押さえやすいパターンばかりである。曲自体も好きだったし、これならなんとかマスターできそうな気がしてきた。

ー そよ風が僕にくれた かわいいこの恋を
いつまでも いつまでも 離したくない いつまでも

メロディアスで爽やかな曲は、歌い出すと心が弾んでくる。
当時はグループサウンズが大流行していて、このサベージも人気のグループのひとつだった。
カレッジポップ風の曲作りとハーモニーはストレートに分かりやすく、メロディーが頭に残って曲を覚えやすい。

徐々にギターを意識せずに弾けるようになってくると、歌に集中できて一層楽しくなってくる。いつのまにか自分の世界へと嵌りこみ、我に返れば少々気恥ずかしい。
ギターって、本当に凄いやつだ。


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