ZEISS SEL1670Z

 今年は梅雨入りが早いという予報が出ているが、すでに日々雲が垂れ込むパッとしない天気が続いている。せっかくの3連休だが、腰の具合が悪いのと、いまだ続くコロナ緊急事態宣言、そしてこの天気のおかげで遠出する気にはなれない。ただ、先日手に入れた<ZEISS SEL1670Z>がどうにも気になって、もう使いたくて使いたくてうずうずが止まらない。とりあえず玄関脇で咲き誇る“ダンスパーティー”を数枚撮ってみたが、被写体の持ち味を壊さない自然な描写に思わずニンマリ。叙景的な特性に優れていることは、レンズの基本であるから。
ふと思い立ち、スマホでtenki.jpを開いてみた。午後から雨だが、どうやら降りだすのは15時過ぎのようだ。だったら自転車でひとっ走り、小平のアジサイ公園へ行ってみることにした。アジサイは咲き出したばかりだろうが、途中の多摩湖サイクリングロードの道端には四季折々の花を見られるはずである。

 それにしてもα6000にZEISSを装着すると、まるで人間工学を考えたのではと思うほど、手にしっくりとくる。これは撮影意欲を向上させると同時に、安定したホールドが可能になり、ブレ防止にも大いに役立つものだ。そして慣れてきたせいか、右手親指が自然と触れる位置にあるコントロールダイヤルで、EVFを覗きながらリズミカルに絞りを変えられるところが何ともいいのだ。また、C1にフォーカスモード、C2にフォーカスエリアを割り振っているので、大概の被写体に対し即座にセッティングの変更が可能になっている。

 かなり早すぎたようだ。肝心なアジサイはやっと咲き出したところで、どう見ても葉が優勢である。池には蓮の花も一輪ほど顔を見せていたが、夏の花だけにこれこそまだまだ先である。
せっかくZEISSを持ち出したのにサイクリングロードにもこれといった被写体が見つからず、渋々自宅へ引き返そうと自転車を走らせた。

 まもなくすると左に古民家が目に入る。サイクリングロードはよく使うので、ここ「小平ふるさと村」のことは以前から知っていたが、これまでそれほどの興味をそそられる対象ではなかったので、立ち入ったことはない。小金井公園脇にある「江戸東京たてもの園」のような規模もないし、いつ通りかかっても人が利用している気配を感じられないのだ。

 ―まっ、いっか。

 生垣越しに見えた十数人の幼稚園児がやや気になったが、ザックを降してα6000を取り出した。
確かに古民家はそれなりの雰囲気はあるし、奥には水車小屋まで建てられている。ただ、見物客の視点を考慮した「江戸東京たてもの園」の演出とは比較するべくもなく、一度見回れば二度はないといった印象だった。
わずかなショット数ではあったが、ここでもZEISSの描写力が光った。撮って出しでも全然問題ないが、Photoshopで黒レベルと彩度を調整してやると、ノスタルジックな画へと変貌。これからどれほど楽しめるのだろうと、いい意味で溜息が出てきた。


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