生活に“縛り”

 あっという間である。定年退職してから一年がたった。
 歳をとると月日の流れが速く感じるというが、私の場合、仕事人生を卒業したとたんに加速がつき始め、いささか怖いほどだ。
 現役時代を思い起こせば、仕事に問題を抱え、床に入っても頭の中で危惧がぐるぐると回り続け、なかなか寝付けないなんてことが度々あった。それが胃に穴が開きそうなほどのが厄介事だったりすると、「重いなぁ…..」との溜息と共に、目には見えないストレスが、肩にざわざわっとのしかかってくる様が良くわかり、鳥肌が立ったこともある。それでもひとたび出勤すれば、様々な手立てを使って解決していくのだが、そのプロセスがたまらなく一日一週間を長く感じさせ、大きな心労になった。
 当然、現役を引退しても悩み事や考え事は次々と現れる。ただ仕事上の厄介事とは根本的に毛色が異なるので、一応今のところは平穏な毎日である。そもそも仕事に就くということは、生活に様々な“縛り”が発生するということであり、多くの方々にとってこれはストレスの根本要因になっていると思われる。
 膝と股関節の具合がイマイチ、歌詞が覚えられない、写真ネタが拾えない、しわが増えた、寝室と女房の部屋のエアコンがダブルで釈迦りそう、畳のうち替えかフローリング化か…..
 まっ、到底ストレスとはなりそうもない些末な事例だが、あきれるほどに続いている。


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