一昨日の日曜日。
女房のやつ、確か今日、仕事はOFFのはずだが、、、なにやら着替え始めた。
「でかけんの?」
「お店に手帳を置き忘れてさ、これから取りに行くの」
彼女の職場は武蔵小金井、時計は11時過ぎを示している。
「だったら堺あたりでランチしない?」
「そうね。東大楼にしようか」
「OK。じゃ12時半現地で」
武蔵境へ出かけるときはたいがい徒歩である。ゆっくり歩いても20分はかからないし、自転車を使うと駐輪場のことがあるから面倒。
もうすぐ12月だというのにやたらと気温が高く、歩くうちに背中が汗ばんできた。案の定、ここへ来るまでにTシャツ短パン姿を二人も見た。
すきっぷ通りの手前でたまらず上着を脱ぐ。
東大楼へ到着すると、ちょうどスイングホールの前から道路を横切ってくる女房が目に入った。ハンカチを団扇代わりに顔の前でパタパタやっている。
「暑いね~」
時間帯が時間帯だけに、店内は満席だったが、おおよそ10分ほど待つと席へ通された。
「おきまりですか?」
「天津丼のセットをふたつ」
天津丼に小ラーメンとサラダ、漬物がついている。ここの天津丼は、あんが甘酸っぱくて私好み。歩いてきたから空腹感は言うまでもなく、すかさずレンゲを突き刺した。
「あたしの友達、家が多摩川線だから堺で乗り換えじゃない、だから仕事の帰りによくここへ寄ってひっかけるんだって」
ひっかけるか……
ふと目線をカウンター席へ向けると、30代と思しき男性が、ニラレバ炒めをあてに昼間っからビールをうまそうにやっている。彼にとっては最高のハッピータイムに違いない。