「暑さ終わんないな~、まじバテる」
「そんな時は鰻じゃないの」
「だったら吉祥寺にあるチェーン店の鰻屋に行こうよ」
「おいしいかな」
「でも安いんだ、これが」
“鰻の成瀬”である。開店を知ったのはちょうど一年前。チラシを見たときその安さにびっくり。一度は利用してどんなものかを確かめたかった。
この日は午前中に南口の病院へ行き、その後十一時過ぎに三鷹駅で女房と待ち合わせた。
「切符買ってくる」
PASMOを忘れた。いつもは財布といっしょに必ずバッグへ入れるのだが……
券売機の前に立ち、150円のボタンを押す。小銭が減ってちょうどいいと強がる。さっそく改札を抜けようと、切符をセンサーへかざしたが、フラップは閉まったままだ。
「パパ、そこじゃだめ」
そうだ。切符を使う場合は、専用改札を通らねば。
鰻の成瀬は、サンロードからペニーレインへ折れ、最初の右角の地下一階にある。店内はそれほど広くはない。
「いらっしゃいませ」
席まで案内してくれた女性スタッフはとても感じがいい。これだけで第一印象は急上昇。簡単なメニューの説明があり、女房は上の梅、私は上の竹とビールを注文した。ちなみに“並”は中国産の鰻を使っているという。
十数分後、目の前に置かれた鰻重の蓋を開けると、なんとも体裁のいい色形、香りである。さっそく食すると、脂が少なくやや淡泊な味わいだが、価格を考えれば及第点をあげられる。気軽に鰻をという向きにはぴったりだ☆