John Mayall & The Bluesbreakers

 今月二十二日。ブリティッシュブルースの先駆者として著名なジョン・メイオール氏が亡くなった。享年は九十歳。
 私は彼の率いるジョン・メイオール&ザ・ブルースブレーカーズの大ファンで、ギターに目覚めた中学三年生の頃、毎日レコードが擦り切れるほど聴いていた。海外ミュージシャンのコンサートへ行ったのも、昔懐かしい“日劇”で行われた彼の公演が初である。

 なんてったってビートルズ、ベンチャーズ、そして加山雄三だ!と嵌りきっていた私に、ライトニン・ホプキンス等々のこてこて本場ブルースなど、耳に馴染むわけもなかったが、当時の愛読書ミュージックライフのページをめくれば、“ロックの源流にブルースあり”というキャッチを幾度となく目にしたのだ。だがどうにもピンと来ない。そもそも黒人がアコースティックギターを抱えている絵はあまりに源流過ぎて抵抗感がでかすぎた。

 幼馴染のKちゃんは大の音楽通。私が「やっぱり加山雄三だよ♪」とうそぶいているのを尻目に、着々とロックのレコードを買い続けていた。ポリドールでいえば“アートロック”、CBSでは“ニューロック”というジャンルのものだ。
「これからの主流だよ」
「へー、そーなんだ。試しになんか聴かせて」

 選んでくれた二枚のアルバムは、“バニラファッジ”と“ブルーチアー”。共にデビューアルバムで、初めて触れた新しいロックの音だった。感想を言えば、バニラファッジの<You Keep Me Hangin’ On>はパワー感に切れのいいボーカル&コーラスがうまく溶け込み、引き込まれるものがあったが、一方ブルーチアーは粗雑で単純な構成ばかりが鼻についた。
 「こーゆー音楽があるんだね」
 これまで聴いてきた音楽とはずいぶんと異なったが、なんとなくハートをくすぐる感は否めなく、Kちゃん宅はお隣なので、ちょくちょくおじゃまして色々と聴かせてもらうことにした。

 Kちゃんの部屋にはおびただしい数のLPが整然と並べられ、それをパイオニアのセパレーツステレオで鳴らせるという最高のリスニング環境が整っていた。そんなことで数時間に渡り二人で聴き続けるなんてことも屡々だった。
 徐々に耳が慣れ、ロックが自然と体に馴染んでくると、自分の好みがしっかりと出てきた。そのタイミングで出会ったのがジョン・メイオール&ブルースブレーカーズ。エリック・クラプトンをフィーチャーした<Blues Breakers with Eric Clapton>とピーター・グリーンをフィーチャーした<A Hard Road>は今でもたまに聴くほどのお気に入りになった。

 本場のブルースを基本にしているとはいえ、パワーとスピードを上手にアレンジしたエレクトリックブルースは、良い意味でのポップ感に溢れ、のりやすくて聴きやすい。このサウンドを作り出したのはもちろんジョン・メイオールだが、エリック・クラプトンやピーター・グリーンのセンス溢れるギタープレイが大いに花を添えているところもGooなのだ。


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