瀬音の湯・大多摩湯めぐり

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 女房とめぐる日帰り温泉第二弾は『瀬音の湯』。
 二月十七日(金)。昨日までの強風もやみ、スカッと晴れ渡る暖かい日になった。温泉もいいが、山を歩いても最高だろう。見渡せば五日市の山々に積雪はほとんど見られず、山の緑も一か月前と比べて鮮やかさが増したようだ。
 瀬音の湯は昨年の暮れに、五日市ウォーキングで初めて訪れたが、あまりの混雑ぶりに、温泉はおろか食事処も利用できなかったので、今回は楽しみである。それにしても紅葉の時期からはやや外れていたのに、あれほど大勢の利用客が訪れていたのだから、ここは間違いなく人気の温泉なのだろう。

 駐車場に到着すると、意外や車の多さに驚いた。混んでる温泉はあまり好きじゃないから、ちょっと引く。ずいぶん前の話だが、山梨の“ほったらかし温泉”へ行ったときは、ほとんどイモ洗い状態でまったく寛げず、嫌な印象だけが残った。
「じゃ、十一時四十五分、ここで」
 入浴料二人分二千円を払って、それぞれ浴室へ向かった。受付、通路、どこも清潔感は及第点だ。これだけで気分がよくなる。浴室へ足を踏み入れると、いるいる、多くの入浴客が。洗い場に五名、内湯に四名、そして露天に四名だ。
 先ずは内湯に浸かってみた。傍らに湯温計が設置してあったので確認すると、42.5℃とちょうどいい。仄かな硫黄臭が温泉ムードを盛り上げる。
 露天が空きだしたのでさっそく場所を移す。
 ドアを引くと一瞬のうちに外気に包まれたが、それほど寒くはなく、湯につかってみれば火照る頭をちょうどよく冷やしてくれ、露天風呂の醍醐味満点だ。しばらく浸かっていると、右手に温泉の説明書きがあることに気がついた。読んでみると、<この露天風呂は源泉を使ってはいるが循環湯なので、殺菌のために塩素を入れてある>とのこと。源泉かけ流しではないので、この処置は致し方ないことだが、ちょっぴり興ざめ。途端に肌がかさつくような気がしてきて、再び内風呂へと入りなおす。

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「おなか減った~」
 施設内には食事処『和食だいにんぐ川霧』がある。先回は強烈なウェイティングにあい、諦めて帰ったが、女性スタッフの方に「お好きな席へどうぞ」と言われ中へ入ると、昼時なのに先客はたったの五組。中央の明るいテーブルへ腰かけた。
「何にする?」
「天丼がいいかな」
「じゃ俺は豚ロースの味噌焼き」
 十分もしないうちに運ばれてきた料理はどちらも可もなく不可もなく。この手の観光地にありがちな味わいである。ただ、セルフだが、冷たいほうじ茶が用意されていたのは嬉しかった。温泉に浸かれば誰だってのどが渇く。
「どうする。もう一度はいる?」
「そうね、じゃ、三十分後にここで」

 食事を挟んで二度も温泉に浸かると、さすがに体の芯まで温まり汗が噴き出てくる。ロッカーのキーを返却し、休憩所へ行ってみると、なんと女房のやつ、サマーベッドに横たわって気持ちよさそうにしているではないか。食事処の南側は中庭のようになっていて、しっかりしたつくりのサマーベッドが数台設置されているのだ。隣のベッドで同じように横になると、これが気持ちいい。もともと今日は朝から幾分気温が高いので、いやな寒さは感じなく、それどころかほど良い冷気が熱せられた体をクールダウンしてくれ、すぅ~っと汗が引いていく。

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「おみやげ買ってこうよ」
 駐車場へ戻る途中に物産販売所がある。ざっと見まわすと、それほどバラエティーに富んでいるわけではないが、目を引くものもいくつか見つかった。
「ねえパパ、これ食べてみなよ、ぜったい美味しいから」
 女房がなにやら試食品の器を差し出した。それではとひとつまみ、佃煮のようなものを口に放り込むと、顎がきゅんときた。
「ほんとだ、こりゃうまい。御飯がすすんじゃう」
「でしょ~」
 てなことで、『かくし味・こんにゃく木くらげ』なるものをゲット。それと発色のいい唐辛子を一袋と、かぼちゃとあんこのおやきを一つずつ買いこんだ。
「次はどこにする?」
「五日市の駅前を右に行ってさ、」
「はいはい、つるつる温泉ね」
 大多摩温泉めぐりはまだまだ続く。


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